大本の発祥について

<大本の発祥は開祖と聖師が出会うと云う、ロマンチックな場面から始まり、大日本帝国の軍拡主義とは一線を画した、広く民衆の支持を受けた熱烈なものがありました。>

大本の開祖・出口なおは、天保7年丹波の福知山に生まれる。少女時代はほとんど奉公に出てその働きぶりから福知山藩の認めるところとなり、孝女の一人として表彰される。19才で結婚し、苦しい生活の中、三男五女を育てる。開祖は夫・政五郎との結婚生活の中で、貧困と苦悩のドン底に沈んだ。自分の境遇を開祖は「地獄の釜の焦げおこしとは自分のことか」と吐息とともに嘆かれた。神は「世界中のものに腹一杯食べさせるために、そなたの食を取り上げた」と言われた。その貧しさの中で開祖は誠実な生き方を貫いた。金銭の授受、物品の取得、公私の区別を厳格な態度で実践され子供たちにも躾けられた。

夫と家庭に対する献身は、明治初期における生き方だった。経済的に貧しい前近代社会において家という社会組織に縛らざるを得ない、開祖の夫に対する愛であるが、当時の枠組みの中での社会倫理でもあった。若い時から信仰心が厚く、身につけ当時の民衆に信仰された神々を熱心に信仰し、苦境の中でも耐え忍び、生まれながらの品格をさらに磨くことができた。明治25年の神がかりは、こうした信仰の上に起こった。

「あなたは一体どなたですか?」と開祖は問う。「この方は艮の金神であるぞよ」と神は答える。開祖には艮の金神がいかなる神なのか、判らなかった。「この神は三千世界を立替え立直す神じゃ。天理、金光、黒住、妙霊先走り、とどめに艮の金神が現れて、万劫末代つづく神国にいたすぞよ」開祖の腹の中に入った憑物は、たちまち町中の評判となった。開祖は思い悩み、あちこちに相談に行ったが、この神の言う事を聞くしかなかった。

艮の金神とはいかなる神であろうか? 陰陽道の言葉であり、艮は東北の意味で鬼門の方位であり、金神とは祟り神である。つまり、数ある金神の中で、猛悪の祟り神である。とんでもないドエライ祟り神に憑りつかれたが、しだいにご神徳をありがたく感じ、開祖は艮の金神を世に出したいと心から願うようになった。「このこと判ける身霊は東から出て来て、世界中に神徳が光り輝く神世になるぞよ」と神が教える。明治31年、風変わりな青年が茶店に立ち寄った。彼は審神者であるという。

「あなたは何をする人ですか?」「私は神さまを調べる役です」つまり青年は神の善悪を判定する審神者と云う。「ずいぶんそこら中の教会を調べましたが、狐や狸のお台さんばっかりでした。」「私は綾部の生まれですが、母に神つきが起こり、もう6年になります。母の神さんが<この神を判ける方が東から来る>と言うので、3年前から茶店を出して待っていました」と半紙に書かれた筆先を見せた。青年は綾部に行って開祖に会う事を約束する。彼こそ、後に大本を担う出口王仁三郎であった。艮の金神を見分ける天来の審神者であった。

出口王仁三郎は明治4年京都府亀岡の農家の長男として生まれ、先祖に画家である円山応挙がいる。幼少の頃は病気がちで小学校入学は遅れたが、記憶力が抜群で村人から神童、地獄耳と言われ、言霊学の中村孝道の妹である祖母に学び、田舎ではまれに見る教養の持ち主であった。満12才の若さで、小学校の代用教員となり<背の高き生徒におぶさりボ-ルドに白字しるして教鞭をとる>と回想している。貧しい小作農家で、農村の階級差別に会い牧畜を生業としながら、和歌や古事記、医学書を学んでいる。明治31年近くの高熊山で修業し、人生の大転回をもたらす。

王仁三郎27才での霊山修業は、宗教家としての人類救済の神業に踏み出すものとなった。

「2時間の現界の修業より、1時間の神界の修業は数十倍も苦しかった。寒天に襦袢1枚となって、1週間水も食事もせず、岩の上に静座して無言のまま、神示のまにまに過去、現在、未来に透徹し、神界の秘奥を窮知し、現界の出来事は数千年の後まで知悉し得られた」自らの霊魂のいかなるものか、使命がいかに重大であるかを、深く自覚する。顕幽両界のメシアとなる為の霊界修業を促された。

そして神界の仕組の人、開祖との対面が実現する。

明治32年王仁三郎は大本入りして、開祖の末女すみと結婚する。大本では開祖と並ぶ二大教祖であり、艮の金神が神がかりした神主と審神者である。王仁三郎の審神により大地を造られたもとの神、国祖・国常立尊が明らかになり、大本は開教・成立した。開祖は至厳至直で筆先を書かれ、立替え立直しの予言警告を発せられる。聖師は霊界の真相を明らかにし霊主体従の教えを説かれる。開祖は明治26年から艮の金神の筆先を書かれ、大正7年まで半紙に20万枚に及ぶ。王仁三郎が筆先を漢字まじりの文にされた大本神諭、そして霊界物語が大本の二大教典とされる。

大本柏分苑

大本柏分苑のホームページです。 5件のSNSがあります。 ①アメーバブログ ②フェイスブック ③TWITTER ④YOU TUBE ⑤ライブドアブログ 下記それぞれの画像をクリックして下さい。

0コメント

  • 1000 / 1000