罪を贖い続ける贖い主 藤井 盛 (2-2最終回)
<昭和9年7月15日 昭和神聖会発会式 東京九段軍人会館>
○激しい言霊で弾圧を誘い込む
昭和神聖会地方本部・支部発会式を詠んだお歌には、決まったように「獅子吼 ( ししく )す」との激しい言葉が、盛んに用いられている。
近江路や彦根を立ちて吾は今長浜会堂に神聖獅子吼 ( ししく )す
〔昭和10・2・19 於長浜住茂登旅館〕
併せて歌日記には、昭和神聖会に関して、「雄健び」「神聖を宣る」の他、「言霊宣る」「言霊の旅」「「言霊戦」など、言霊を入れた言葉が並ぶ。
昭和神聖会は、海軍軍縮条約廃止運動を進め、また、天皇機関説排撃に積極的である一方で、綱領には「人類愛善の実践」を掲げるなど、なかなかその理解は単純ではない。
しかし、昭和九年七月十五日の昭和神聖会発会から、ちょうど六年後の昭和十五年七月十五日に第二次近衛内閣が発足したことが一つの例であるように、第二次大本事件において、大本が弾圧されたことが型となって、日本の軍国体制が崩壊したということが、「型の大本」としてよく言われるところである。
この弾圧は、昭和神聖会の活発な活動によるところと言われているが、聖師は、その弾圧を自ら誘い込む【註5】ようにされている。
つまり、型である大本を潰すことで日本の軍国体制を潰そうとされているが、こうした犠牲的な姿が、罪の贖い主としての聖師のご活動の一つであるとすれば、昭和神聖会地方本部・支部発会式での激しい「言霊」も、弾圧を誘い込む贖い主のご活動の一環になるものと考える。
○言霊で創造された宇宙を守る
天祥地瑞には「スの言霊」による宇宙創造の過程が示してある。
大虚空中に一点のヽ ( ほち )忽然 ( こつぜん ) と顕れ…初めて の言霊生まれ出で… の言霊こそ宇宙万有の大根源にして…遂に は極度に達してウの言霊を発生せり…ウの活動極まりて…アの言霊を生めり…ウは降っては遂にオの言霊を生む…七十五声の神を生ませ給ひ、至大天球を創造し
〔天祥地瑞第七十三巻第一章「天之峯火夫の神」〕
一点のヽ ( ほち )から 、ウ、ア、オの各言霊が発生し、そして七十五声の神が生まれて至大天球が創造されている。
そしてスの言霊が、宇宙間に火と水との物質や一切の霊魂物質を生み、その宇宙を瑞の御霊・太元顕津男 ( おほもとあきつを )の神が守られ、また、至仁至愛 ( みろく )の神や伊都能売神と顕現されて、肉体をもって地球でご活動されている。
スの言霊は…火と水との物質を生み…一切の霊魂物質は何れもスの言霊の生むところなり…
太元顕津男 (おほもとあきつを)の神は…生言霊を奏上し…言霊宇宙に凝りて…大太陰は顕現され…宇宙天界を守らせ…至仁至愛 ( みろく )の神と現じ…肉の宮居に降りて…迫害と嘲笑との中に…尽し給ふ…
瑞の御霊…伊都能売神と顕現し…地球…に現れ、現身 ( うつせみ )をもちて…宇宙更生の神業に尽し…
瑞の御霊…伊都能売神と顕現し…地球…に現れ、現身 ( うつせみ )をもちて…宇宙更生の神業に尽し…
〔天祥地瑞第七十三巻第一二章「水火の活動」〕
この文中の「迫害と嘲笑との中に」とは、弾圧を指したものと考えられる。そうすると、聖師として現れた贖い主が、もとより至仁至愛 ( みろく )の神や伊都能売神であること、また、言霊で創造された宇宙を守る太元顕津男 ( おほもとあきつを )の神であることを明らかにするものとなる。
「山水に神音有り」(聖師筆)この世界は、遍く主の神の言霊で満ち満ちている。
○罪を贖い続ける贖い主
贖い主としての聖師と言霊との関係を述べてきたが、霊界物語第十二巻には「七十五声の言霊」が天の岩戸を開くと示してある。
八咫 (やあた)の鏡は今は器物にして祀られて天照大御神の御神体でありますが、太古は七十五声の言霊で…天津神の霊をこめたる言霊によつて再び天上天下が明かになつた…
鏡に映つたから自分でのこのこ御出ましになつたと言ふやうな訳ではありませぬ…
言霊の鏡に天照大御神の御姿が映つて、総ての災禍はなくなり、愈 ( いよいよ )本当のみろくの世に岩屋戸が開いた…
〔第十二巻第三十章「天の岩戸」〕
記紀神話にあるように、天照大御神は、鏡に映ったご自身の姿を見て岩戸から出られたのではなく、神々の七十五声の言霊で天の岩戸が開いたということであるが、この天の岩戸開きとセットとなっているのが、贖い主の存在である。
岩屋戸を閉めさせた発頭人を…総てのものを罰するとすれば、世界は潰れて了ふ。一つの贖罪者 ( とくざいしや ) …贖主 ( あがなひぬし ) である…建速須佐之男命御一柱に罪を負はして、鬚を斬り…根の堅洲国へ追ひ退けた…
また、七十五声の言霊が、天下太平にこの世を治めることが第十二巻に示されている。
手力男神 (たぢからをのかみ)の秘密と申せば七十五声の言霊、善言美詞 ( みやび ) の神嘉言 ( かむよごと ) の威徳に依つて、天地清明国土安穏 ( あんをん ) 、病無く争ひ無く、天下太平にこの世を治める、言霊の秘密より外には何物も御座いませむ
〔第十二巻第二四章「言霊の徳」〕
七十五声の言霊が、世を天の岩戸に開き、また、太平に治めるとあるが、それを維持し続けるため、瑞霊・変性女子たる贖い主が、この世の続く限り罪を贖い続けるとある。なんともありがたい御教えだと思う。
変性男子の役目と云ふものは総て世の中が治まつたならば余り六ケ敷い用は無い、統治さへ遊ばしたら良いのであります。
之に反して変性女子の役はこの世の続く限り罪人の為めに何処までも犠牲になる所の役をせねばならぬので御座います。
〔第十二巻第三十章「天の岩戸」〕
【註5】大国美都雄著「最後の神劇」(二)「愛善世界」平成二七年二月号〔五四頁〕
「聖師さまは、来るように、来るように仕向けていられる傾向がある」
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