お歌にみる「みろく下生」   藤井 盛

○松本清張著『神々の乱心』

松本清張氏の絶筆「神々の乱心」は、大本をモデルにしたもので、時代背景を第一次大本事件から入蒙あたりに置いてある。入蒙におけるパインタラ事件が、忠実に描写されている。

「出口王仁三郎は…張作霖の部将廬占魁軍の護衛で蒙古入りしたが、作霖の変心により…通遼(パインタラ)で包囲され…銃殺の宣言を受け…王仁三郎一行は助かった…廬占魁ら…は銃殺された」     (『神々の乱心』下巻62頁)

特筆すべきは、聖師のみろく下生が積極的に著されていることである。

「ミロクの霊を享(う)けた『聖師』出口王仁三郎」

(上巻17頁)

「弥勒の下生」、「弥勒が王仁三郎」 (下巻67頁)

「弥勒下生達頼喇嘛(ダライラマ) 素尊汗(ハン)」 (下巻69頁) 

これらの「弥勒の下生」(入蒙記八章「聖雄と英雄」)、「弥勒下生達頼喇嘛(ダライラマ) 素尊汗(ハン)」(出口聖師の名詞)は、しっかり清張氏が入蒙記などを読んでいる証拠である。しかも、「弥勒が現世に現れたのが王仁三郎」(下巻67頁)とまで、明快にストレートに言い切ってある。

なお、清張氏のいとこの山川京子氏が大本信者で、東京で支部長であったと聞く。聖師のみろく下生たることを世に伝える清張氏は、立派な大本の宣伝使である。

     

○みろく下生たる出口聖師

大本の出現は、艮に退去していた国祖の大神が再び元の主宰となる場合には、天のミロク様が地上に降臨し輔佐するという神誓神約に基づくものである。(「太古の神の因縁」大正七・一・一五など要約)

 そして、そのみろく様の降臨が、出口聖師だと開祖様が気づかれるのが、大正五年の神島開きである。

 「素盞嗚尊…の霊が、みろくの神の御霊…みろく様が根本の天の御先祖様…国常立尊は地の先祖」      (『大本神諭』大正五・旧九・九)

 さらに、大正十三年の入蒙により出口聖師が「弥勒の下生」(入蒙記八章「聖雄と英雄」次も同)であり、また「弥勒最勝妙如来」だと明示された。

 出口聖師五十六歳七ヶ月の昭和三年三月三日、「みろく大祭」【註】が行われ、出口聖師はみろく三会のお歌を詠まれた(後述)。その後、御自身の御神格を一層明確に示された。

「久方の雲井の空を後にして地に降りたる身魂は神なる」(言華『神の国』昭和三年七月号以下同)

 「天地(あめつち)は肉体神(にくたいじん)を世に現じ人間界に交りて経綸(しぐみ)す」

「人間の姿現じて世に出(い)でし誠の人は神の顕現」

 特に次の歌は、御自身の御神格に対する誤った認識を正すよう語気を強めておられる。

「瑞霊を神の憑(うつ)りし肉体と誤解せる人憐(あわ)れなりけり」

「伊都能売の神と現(あ)れます人の子を神懸れると思う人間」

 この伊都能売の神は、昭和八年、霊界物語天祥地瑞で現身(うつせみ)を持つと、重ねて示されている。

「伊都能売神と顕現し、大宇宙の中心たる現代の地球(仮に地球といふ)の真(ま)秀(ほ)良(ら)場(ば)に現れ、現身(うつせみ)をもちて、宇宙更生の神業に尽し給ふ世とはなれり」    (七十三巻一二章「水火の活動」)

 まさに、松本清張氏が言うとおり「弥勒が現世に現れたのが王仁三郎」である。

【註】いつものような大祭の式典はなく…「神言」を奏上…聖師による…歌の朗詠 (大本七十年史下)

○みろく三会

 四月七日(日)のみろく大祭に参拝した。出口孝樹斎主奏上の大祭祝詞に、出口聖師が昭和三年三月三日の「みろく大祭」で詠まれたお歌があった。

「万代に常夜の暗もあけはなれみろく三会(さんえ)の暁(あかつき)きよし」

 このみろく三会について、水鏡(ミロク三会)に興味深いお示しがある。

①「天のミロク、地のミロク、人のミロクとそろうた時がみろく三会。人間にとれば天は父…地は母…子は人」

②「キリストは三位一体」を「父と子と聖霊」と説くが、「聖霊そのものが天であり、地であり、父であり、母であり、子であり、人である」

③よって、「キリスト教…父と子はあっても母がない…二位一体」。「地の母」も揃った「真の三位一体すなわちミロク三会」。

 つまり、天も地も人も同じ聖霊だということ。従って、次のお歌になる。

「人間の姿現じて世に出(い)でし誠の人は神の顕現」

また、同じくみろく大祭での讃美歌も、「子」を詠んだものであった。

「神の一人子と現れませる 瑞の御魂は御空より 地上に降り給ひぬと」

なお、このみろく三会のお示しは、四十七巻「総説」にも通じる。大六合(おほくに)常(とこ)立(たちの)大神と厳の御霊、瑞の御霊の関係について、「神を三分して考へることは出来ませぬ」とか「心に三を念じて口に一をいうことはならない」とある。また、四十七巻「総説」の原典となっている『天界と地獄』も「神格を分ちて三となすを得ず」とある。

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