出口王仁三郎の予言

出口王仁三郎の予言

「八月十五日」という日については、大正時代から染筆するなど予示されていた。「天祥地瑞」も昭和八年旧八月十五日に口述開始され、翌年新八月十五日に口述を終えている。『大本七十年史』にも、昭和十八年に長野の信徒に「二十年八月十五日に留意せよ。皆神山は安全地帯でBの不安はない」と王仁三郎が語ったことが記されている(六六二頁)。

松本健一氏は『出口王仁三郎…屹立するカリスマ』(一九八六年、リブロポート)で王仁三郎の予言について触れ「予言とは霊感想像力によって現実の将来図を描くことである。この将来図、つまり文明の究極の原理を想定し、それにむかって現実を批判し革命してゆくことが、カリスマとしての王仁三郎による日本原理主義革命にほかならなかった」(二三〇頁)と記るしている。

 王仁三郎が生涯を通して希求したのは、主神の宇宙、スサノオの宇宙への回帰であり、その宇宙のなかで営まれ育まれる人類社会のあり方であった。

 近代天皇制というバラモン権力と、近代自然科学というウラル教的知が支配する日本近代の中で、王仁三郎は主神(スサノオ)の愛を行じ、われよし合理世界をこえた霊界観、宇宙観を、松本の言葉を使えば「文明の究極の原理」として提示していった。

 バラモン的な近代日本の崩壊予言や、われよしの列強が大戦争を起こすことの予言は、神秘的なものというよりも、王仁三郎のなかでは当然のことであっただろう。そうなるのが、宇宙の法則なんだと。

 未来に関しての預言も多い。最近会った戦前からの信徒の人からも、次の話を聞いた。「戦時下王仁三郎聖師に面会した時、〃月に人間がゆくんや〃といわれる。そんな……とおもっていたが、後でアメリカの宇宙飛行士が月に行ったとき、改めて聖師さまのすごさを思った」と。出口京太郎氏は「出口王仁三郎の未来予測」の主題で各地を講演したことがあった。(昭和五十二~三年ころ。『おほもと』昭和五十二年六~八月号に講演録あり)王仁三郎が未来社会について語った断片を紹介し、おもしろいものだったが、「文明の究極の原理」への問いかけは乏しかった。

 王仁三郎は、教旨、三大学則、四大綱領、四大主義などで、宇宙的な理から展開する人類社会の骨格を示した。本誌巻頭の「浮島の怪猫」で梅公が説く「神力と人力」も、「文明の究極の原理」であろう。

 もっと物理的宇宙に深まれば、科学技術も進歩するだろう。内面豊かな宇宙に開かれてゆけば、王仁三郎が断片的に語るように、財産よりも、むしろ名の方を皆が求め、お金はある限度以上求めなくなり、あの〃皇道経済〃も実現可能となろう。安心でき健康的で豊かな生活とは何かを、内奥から自覚してくるとき、経済ブロックをどうするか、新しいエネルギーをどこに求めるか……などの模索が自然に展開され、王仁三郎が断片的に預言している未来像にリンクしてゆくだろう。

 王仁三郎は人類破滅など、全く考えていない。未来はある。しかしそれは、人類が主神にもどって明るく開放されてゆくとき将来されるものだ。

 以下、王仁三郎が語っている人類社会の未来断片のなかから、いくつかを紹介し、この「王仁三郎預言資料年譜」を終わる。

●飛行機はいらなくなる

比村「みろくの世には飛行機は要らないとありますが」

出口氏「みろくの世には飛行機よりももっと良いものが出来るからだ。今の飛行機みたいにあんな事をしないでもよいようになる」

(「出口王仁三郎氏を囲む神霊座談会」『昭和青年』昭和七年十二月号六十四頁)

●みろくの世と物資文明

「ミロクの世になれば寝ながらにして地の中を通ることができ、空をも、また水中をも通ることができると言うてあるが、寝ながら通る地中というのは地下鉄道のことで、寝ながら通る空というのは飛行機、飛行船のこと、水の中を通るというのは潜水艦のことであって、今がその予言の出てきた時代なのである。また蒙古には、黒蛇が世界中を取り巻き、牛や馬が物言うときに成吉思汗が再臨してわが国土を救う、という予言があるが、それも現代のことである。すなわち黒蛇とは鉄道のことであり、牛馬がものを言うのは、人間がひどく堕落して、狐狸牛馬などの容器になってくることをいうたものである」(『月鏡』)

●ラヂオは気候を調節する

「西村さんがフランスから帰朝の途次シベリアを通過して、気候が案外暖かであったというていたが、近来地上の気候はラヂオ使用のため大気に大変化をきたしておるのである。神諭にある『世界中を舛かけ曳きならす』ということを皆が小さい意味にとって、国土とか、経済とかの上とのみ思っておるようであるが、神様の舛かけ曳きならしはそんな狭義の意味のものではない。気候までも舛かけ曳きならされるのであって、ラヂオもその働きの一部分をつとめているのである。ラヂオは音波を輸送するごとくに、寒気、熱気をも輸送するもので、寒帯の寒気は熱帯に運ばれ、熱帯の熱気は寒帯に運ばれて世界中の温度がだんだん平均してくるのである。平均するというても、比較的のことであって、熱帯はやはり暑く、寒帯は冷たいが、寒暑の度が今までのように激烈でないように調節されるのである。温帯はあまり変化はない。『北がよくなるぞよ』との神諭もまた這般の消息を伝えているのである。また大本祝詞の『暑さ寒さもやわらかに云々』とあるもこの事である」(『水鏡』)

●霊気をもって電気にかえる

 霊界物語四巻五十章「神示の宇宙 五」に、電気電波文化から霊気霊波文化へと推移することが書かれている。

「……無線電信や、電話やラヂオが活用され来たるは、五六七の神政の魁として、もっとも結構なことなり。しかしながら物には一利一害のともなうものにして、善悪相混じ、美醜たがいに交わる造化の法則に漏れず、便利になればなるほど、一方にまたそれに匹敵するところの不便利なることが出来るものなり。電気なるものは、前述のごとく宇宙の霊素、体素より生成したものなるが、その電気の濫用のために、宇宙の霊妙なる精気を費消すればするだけ、反対に邪気を発生せしめて宇宙の精気を抹消し、ために人間その一切の生物をして軟弱ならしめ、精神的に退化せしめ、邪悪の気宇宙に充つれば満つるほど、空気は濁り悪病発生し害虫増加す。されど今日の人間としては、これ以上の発明は未だ出来てをらず、ゆえに五六七神政の過渡時代においては、もっとも有益にして必要なものとなりをるなり。も一歩進みて不増不減の霊気をもって電気に代えることになれば、宇宙に忌まわしき邪気の発生を防ぎ、至粋至純の精気によりて、世界は完全に治まり来るなり。この域に達するにも、今日のごとき浅薄なるものを捨て、神霊に目醒めざるべからず。大本信者の中には、電気燈を排斥する方々が、たまたまあるやに聞けども、それはあまり気が早すぎるなり。これ以上の文明利器が発明されて、昔の行燈が不用になりしごとくに、電燈不用の時機に電気を廃すればよし。

 また宇宙には無限の精気が充満せるゆえ、何ほど電気を費消しても無尽蔵なり。決して、無くなるといふ心配はいらず。また一旦電気濫費より発生したる邪気も宇宙無限の水火の活動によりて、新陳代謝が始終行なわれをるゆえ大丈夫なり。この新陳代謝の活用こそ、神典にいわゆる祓戸四柱の大神の不断的活動によるものなり。……」

●世界を十二ブロックに

「……是から世界は十二ケ国に約まりて日本の一つの王で治まるのであるが、其所に成る迄には世界に大混雑が湧いて来るから、余程確りと腹帯を締ておかんと、途中で腹が破れるやうな事が出来いたすぞよ。…」(「伊都能売神諭」大正八年一月二日。『神霊界』大正八年一月十五日号)

●経済ブロックの創設

「皇道経済実現には、第一に自給自足の経済ブロックを創設することである。山陰ブロック、山陽ブロック、四国ブロック等などで、ブロック圏相互に有無相通ずることである。だんだん大きくして日本ブロック。それからアジアブロック、アメリカブロック、エウロッパブロック。アフリカブロック。オーストラリアブロック。北米ブロック。南米ブロックと大きな経済ブロックを創設して大きなブロック相互の有無相違によって、全地球の自給自足経済までに拡って行くことが神の経済経綸である」(昭和一八年『新月の影』)

●都市は十万人に

「王仁は都市は十万になると言ふとるのやで」(昭和十九年六月十七日『新月の影』) 

●空中に文字発信…二十一世紀初期の交通機関

「松彦『昔のように今日(五十世紀)の時代は、毛筆や、鉛筆や、万年筆などの必要はありません。ただ指先をもって空中に七十五声の文字を記せば、配達夫はただちに配達してくれますよ。…この交通機関は二十一世紀の初期から開始されたのですよ』(霊界物語十五巻二十一章)

●二十四世紀は天国浄土の完成時代

「弥次彦『……二十四世紀の今日に、原始時代のような、古い頭を持っているから判らぬのだ。今日の娑婆をなんと考えている、天国浄土の完成時代だ。中空を翔ける飛行機、飛行船はすでに廃物となり、天の羽衣という精巧無比の機械が発明され、汽車は宙を走って一時間に五百マイルという速力だ。蓮華の花は所狭きまで咲きみだれ、何ともかとも知れない黄金世界が現出してをるのだ。……」(霊界物語十四巻八章)

●五十世紀の地球

「松彦『……現界は二十世紀という、魂の小さい人間の住まっていた時代を超過し、既に三千年暮れている。現界で言えば、キリストが現れてから五十世紀の今日だ。世はだんだん開けるにつけて、地上の人間は労苦を厭い、歩くのにも電車だとか、自動車、汽車、風車、羽車などに乗って天地間を往復し、少しも手足を使わないものだから、身体はおいおいと虚弱になって、もはや五十世紀の今日では、コンナ弱々しい人間になってしまったのだ。しかしながら、十九世紀の終わりから二十世紀にかけて芽を吹きだした、三五教の教を信じ不言実行につとめ、労苦を楽しみとしている人間の系統に限って、それと反対に六尺以上の体躯を保ち、現幽神界において、神の生宮として活動しているミロク人種もありますよ』」(霊界物語十五巻二十章「五十世紀」)

●〃皇道経済〃が生動している社会

 本誌創刊号所収の王仁三郎の論文「大正維新に就て」(大正六年)は、人類の未来像ともいえる。預言的に言い換えてゆける内容である。

◇世界がひとつの大家族になる。◇お金で心まで支配するような社会はなくなる。◇地域に即し各自が大地に接した自給経済体制ができる。◇税金はなくなってゆく。◇内面的人類的想いから、肉食は求めなくなる。◇適正な住居と環境が、社会の基本として大事にされる。◇自然国土の天恵(エネルギー、食糧、健康等など)を受ける工夫がなされてゆく。◇私有財産を必要以上に求める必要もなく、各自の人生に満足できる。◇主神とその教えにもとづき、現幽神三界を貫く人生・社会の価値基盤が準備される。◇その基盤のうえで、各自の素質に応じた働きの場ができる。◇物資情報の交通交流システムの機関(国家)と一人一人がネットワークできる。交通機関は無料になり、情報料もいらなくなる。……

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