霊界物語 天皇制ファシズムの崩壊 第67巻 浮島の怪猫

出口王仁三郎著 霊界物語 山河草木 第67巻 第2篇 春湖波紋 

<第6章 浮島の怪猫>

【大正13年12月27日 綾部祥雲閣にて口述筆記】

(文中 アケハルの岩とは、明治の天皇制国家権力が想定されており、また

 虎猫夫婦とは明治天皇のすり替え 大室寅之祐と皇后 一条美子とされる。)

波切丸は万波洋々たる湖面を、西南を指して、船舷に鼓を打ち乍ら、いともゆるやかに進んでいる。天気晴朗にして春の陽気漂ひ、或は白く或は黒く或は赤き翼を拡げた海鳥が、或は百羽、千羽と群をなし、怪しげな声を絞って中空を翔めぐり、或は波間に悠然として、浮きつ沈みつ、魚を漁っている。アンボイナは七八尺の大翼を拡げて一文字に空中滑走をやっている。その長閑さは天国の楽園に遊ぶの思いがあった。前方につき当ったハルの湖水第一の、岩のみを以って築かれた高山がある。国人は此の島山を称して浮島の峰と称へている。一名夜光の岩山ともいう。船は容赦もなく此の岩山の一浬許り手前迄進んで来た。船客は何れも此の岩島に向って、一斉に視線を投げ、此の島に関する古来の伝説や由緒について、口々に批評を試みている。

甲 『皆さま、御覧なさい。前方に雲を凌いで屹立している。あの岩島は、ハルの湖第一の高山で、いろいろの神秘を蔵している霊山ですよ。昔は夜光の岩山と云って、岩の頂辺に日月の如き光が輝き、月のない夜の航海には燈明台として尊重されたものです。あのスックと雲を抜出た山容の具合といひ、全山岩を以て固められた金剛不壊の容姿といひ、万古不動の霊山です。此の湖水を渡る者は此の山を見なくちゃ、湖水を渡ったといふ事が出来ないのです。』

乙 『成程、見れば見る程立派な山ですな。併し乍ら、今でも夜になると同じよに光明を放つているのですか』                    甲 『此の湖水をハルの湖といふ位ですもの、暗がなかったのです。併し乍ら,だんだん世の中が曇った勢か、年と共に光がうすらぎ、今では殆んど光らなくなったのです。そして湖水の中心に聳え立っていたのですが、いつの間にやら、其の中心から東へ移って了ったといふ事です。万古不動の岩山も根がないと見えて浮島らしく、余り西風が烈しかったと見えて、チクチクと中心から東へ寄ったといふ事です』

乙 『成程文化は東漸するとかいひますから、文化風が吹いたのでせう。併し日月星辰何れも皆西へ西へ移って行くのに、あの岩山に限って、東へ移るとは少し天地の道理に反しているじゃありまぬか。浮草のやうに風に従って浮動する様な島ならば、何程岩で固めてあっても、何時沈没するかしれませぬから、うっかり近寄るこた出来ますまい』

甲 『あの山の頂きを御覧なさい。殆ど枯死せむとする様なひねくれた、ちっぽけな樹木が岩の空隙に僅かに命脈を保つているでせう。山高きが故に尊からず、樹木あるを以て尊しす・・・とかいって、何程高い山でも役に立たぬガラクタ岩で固められ、肝心の樹木がなくては、山の山たる資格はありますまい。せめて燈明台にでもなりや、山としての価値も保てるでせうが、大きな面積を占領して、何一つ芸能のない岩山ではサッパリ話しになりますまい。それも昔の様に暗夜を照し往来の船を守って安全に彼岸に達せしむる働きがあるのなれば、岩山も結構ですが、今日となっては最早無用の長物ですな。昔はあの山の頂きに特に目立って、仁王の如く直立している大岩石を、アケハルの岩と称へ、国の守り神様として、国民が尊敬していたのです。それが今日となっては、少しも光がなく、おまけに其の岩に、縦に大きなヒビが入って何時破壊するか分らないやうになり、今は大黒岩と人が呼んで居ります。世の中は之を見ても、此ままでは続くものではありますまい。天の神様は地に不思議を現はして世の推移をお示しになると云いますから、之から推考すれば、大黒主の天下も余り長くはありますまいな』

乙 『あの岩山には何か猛獣でも棲んでいるのでせうか』

甲 『妙な怪物が沢山棲息しているといふ事です。そして其の動物は足に水かきがあり、水上を自由自在に遊泳したり、山を駆け登る事の速さといったら、丸切り、風船を飛翔したやうなものだ・・・との事です。昔は日の神、月の神二柱が、天井より御降臨になり八百万神を集ひて、日月の如き光明を放ち、此の湖水は素より、印度の国一体を照臨し、妖邪の気を払ひ、天下万民を安息せしめ、神様の御神体として、国人があの岩山を尊敬していたのですが、追々と世は澆季末法となり、何時しか其の光明も光を失ひ、今や全く虎とも狼とも金毛九尾とも形容し難い怪獣が棲息所となっているさうです。それだから吾々人間が、其の島に一歩でも踏み入れやうものなら、忽ち狂悪なる怪獣の爪牙にかかって、血は吸はれ、肉は喰はれ骨は焼かれて亡びると云って恐がり、誰も寄りつかないのです。風波が悪くって、もしも船があの岩島にブツかかろうものなら、それこそ寂滅為楽、再び生きて還る事はできないので、此頃では、秘々とあの島を悪魔島と云っています。併し大きな声でそんな事言はうものなら、怪物が其の声を聞付けて、どんなわざをするか分らぬといふ事ですから、誰も彼も憚って、大黒岩に関する話を口を閉じて安全無事を祈っているのです。あの島がある為に、少し暴風の時は大変な大波を起し、小さい舟は何時も覆没の難に会うのですからなア。何とかして、天の大きな工匠がやって来て大鉄槌を振ひ、打砕いて、吾々の安全を守ってくれる、大神将が現はれ相なものですな』

乙 『何と、権威のある岩山じゃありませぬか。つまり此の湖面に傲然と突っ立って、あらゆる島々を睥睨し、こわ持てに持てているのですな』 

甲 『あの岩山は時々大鳴動を起し、噴煙を吐き散らし、湖面を暗に包んで了う事があるのですよ。其の噴煙には一種の毒瓦斯が含有していますから、其の煙に襲はれた者は忽ち禿頭病になり、或は眼病を煩い、耳は聞こえなくなり,舌は動かなくなるといふ事です。そして腹のすく事、咽喉の渇く事、一通りじゃないさうです。そんな魔風に、折あしく出会いした者は可い災難ですよ』

乙 『丸っ切り蛆蜒か、蛇蠍の様な恐ろしい厭らしい岩山ですな。なぜ天地の神さまは人民を愛する心より、湖上の大害物を除けて下さらぬのでせうか。あって益なく、なければ大変、自由自在の航海が出来て便利だのに、世の中は、神様と雖、或程度迄は自由にならないと見えますな』

甲 『何事も時節の力ですよ。金輪奈落の地底から突き出てをったといふ、あの大高の岩山が、僅かの風位に動揺して、東へ東へと流れ移る様になったのですから、最早其の根底はグラついているのでせう。一つレコ-ド破りの大地震で勃発したら、手もなく、湖底に沈んで了ふでせう。オ、アレアレ御覧なさい。頂上の夫婦岩が、何だか怪しく動き出したじゃありまぬか』

乙 『風も吹かないのに、千引の岩が自動するといふ道理もありますまい。舟が動くので岩が動くやうに見えるのでせう』

甲 『ナニ、さうではありますまい。舟が動いて岩が動くやうに見えるのなれば、浮島全部が動かねばなりますまい。他に散在している大小無数の島々も、同じ様に動かねばなりますまい。岩山の頂上に限って動き出すのは、ヤツパリ船の動揺の作用でもなければ、変視幻視の作用でもありますまい。キッと之は何かの前兆でせうよ』

乙 『さう承はれば、いかにも動いて居ります。あれあれ、そろそろ夫婦岩が頂きの方から下の方へ向って歩き初めたじゃありませぬか』

甲 『成程妙だ。段々下って来るじゃありませぬか。岩かと思へば虎が這うている様に見え出して来たじゃありませぬか』

乙 『いかにも大虎ですわい。アレアレ全山が動揺し出しました。此奴ア沈没でもせうものなら、それ丈水量がまさり、大波が起って、吾々の船も大変な影響をうけるでせう。危ない事になって来たものですワイ』

かく話す内、波切丸は浮島の岩山の間近に進んだ。島の周囲は何となく波が高い。虎と見えた岩の変化は磯端に下って来た。よくよくみれば牛の様な虎猫である。虎猫は波切丸を目をいからして、睨み乍ら、逃げる如く湖面を渡って夫婦連れ、西方指して浮きつ沈みつ逃げて行く。俄に浮島は鳴動を始め、前後左右に、全山は揺れて来た。チクリチクリと山の量は小さくなり低くなり、半時許りの内に水面に其の影を没して了った。余り沈没の仕方が漸進的であったので、恐ろしき荒波も立たず、波切丸を前後左右に動揺する位ですんだ。一同の船客は此の光景を眺めて、何れも顔色青ざめ、不思議々々々と連呼するのみであった。此の時船底に横臥していた梅公宣伝使は船の少しく動揺せしに目を醒ましヒョロリヒョロリと甲板に上がって来た。さしもに有名な大高の岩山は跡形もなく水泡と消えていた。・・・・・

(浮島の怪猫、後半もあります。 続きの原文は愛善世界社 注釈付き文庫版をお読み下さい。 アマゾン、ジュンク堂書店などで取り扱っております。)

(文中の大黒主を天皇に読み替えたり、波切丸は船による1つの社会集団を意味したり、あの岩に限って、東へ移るのは天地の道理に反しているなど、大本信者の間で語り継がれています。)

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